「データいじり」では戦略的意思決定の役には立ちません。戦略上の選択肢と重要性、事業目的、経営目標を満たすためのデータ解析を、多変量解析や可視化、アルゴリズム、機械学習など様々な統計解析技術を使って行います。

戦略的データ解析とは

とりあえずデータ分析をしよう、と言って「データいじり」をした結果、大量の分析結果資料は積み上がったけれど何の役にも立たない、という例は少なくありません。

事業戦略のために本当に必要なデータ解析は、事業目的と取り得るアクション、期待される実行成果を視野に入れ、そのために必要な「選択肢の決定」や「経営の地図」を導き出すものです。

戦略上必要としている分析結果を得るためには、その目的にあわせて、例えば数千万人分に及ぶ顧客購買履歴とID情報を分析して行動傾向を明らかにする、あるいは数万人規模の大規模市場調査を実施して顧客・ユーザーの心理傾向を明らかにしていきます。

こういった分析を行うためには、シンプルにデータを集計して可視化する方法から、多変量解析と呼ばれる統計手法群、また機械学習的な手法まで、様々な手法を、目的にあわせて使いこなします。単に流行の技術を使えばいいのではなく、何のためにどんな分析技術を使うのか、深い理解や幅広い経験がものをいう世界です。

こういった戦略的データ分析による「経営の地図」や「選択肢の決定」を当然のものとして使いこなす「データドリブン経営」が出来ている企業と、未だに「なんとなく」の経営にとどまっている企業とで、企業競争力に圧倒的な差がついてしまうのがグローバルな競争環境の現状です。

構成例

目的設定、出すべき結論に応じて様々なデータを使用できますが、特に経営戦略上重要な領域は、既存事業の売上・利益拡大、新規事業で狙う潜在ニーズ検証などのために、顧客像とその多様性を広く深く理解することです。その主要な手法として、購買履歴等のログデータを用いる場合、大規模アンケート調査を実施する場合があります。

  • 顧客ログデータの統計解析
    顧客・ユーザーIDが振られた販売履歴データベースを使用して、プロダクト開発や商品開発、プロモーション戦略など多岐にわたる事業戦略の基盤となる顧客像とその分布を、大規模リアルデータに基づいて描き出します。顧客を行動によって分類するためのデータの定義と多変量解析手法の使い方、事業現場での具体的アクションにつなげるための分析結果の可視化、が成否を分けるポイントです。

    (分析例)
    -顧客の典型的な購買パターン: 概況把握として、曜日・時間帯、店舗種別、複数店舗買い回り、商品カテゴリ、カテゴリ併売、個数×単価、LTV
    -購買行動の類似性に基づく顧客クラスタリングの作成、顧客マップ・ペルソナ作成
    -高LTV顧客・低LTV顧客の特徴、高LTV顧客に至る成長経路
    -新規入会者の定着、退会者の離脱と関連する行動要因の洗い出し検証
    -ウェブアクセスログ等と掛け合わせることで、マーケティングファネルと各プロセスでの脱落要因の分析
    -NPS等の顧客満足度調査データと掛け合わせることで、CS向上・LTV拡大施策の有効性の検証

    (使用する技術・ノウハウ)
    -クラスタリング・因子分析・相関分析などの多変量解析、各種統計手法から最適な手法の選択、パラメーター調整手法
    -データベース構造に基づく顧客データの加工成形、変数合成、顧客の特徴を表す変数の構成
    -戦略的意思決定のためのデータ可視化の表現技術、解釈の導出
    -事業構造とビジネスモデルにあわせて着目すべき指標、KPIの設計、指数化
    -事業理解、顧客の心理理解によるアクション仮説の設定

  • 市場調査と統計解析
    自社内のデータベースの分析をしただけで満足してしまっている企業も多いですが、顧客の他社利用分も含めたシェアが分からないこと、ログデータには表れない購買時の心理やシーンの状況が分からないこと、の2点において片手落ちです。
    他社分も含めた市場全体での顧客像とその多様性を、顧客の潜在ニーズやライフスタイルの水準で描き出して経営の基本地図とするには、アンケート手法による大規模市場調査のデータ取得が欠かせません。市場調査の実施は今や容易になっていますが、戦略的目的のための調査設計には蓄積されたノウハウがなければ失敗しがちです。

    (分析例)
    -自社・競合他社・代替品を含めた市場全体のシェア・マップ作成
    -購買商品傾向・購買単価・顧客属性(性年代・家族構成・趣味嗜好)ごとの自社・他社シェア推定
    -商品認知・興味・検討・購入・使用・推奨までのマーケティングファネルごとの通過率×要因の分析
    -顧客ニーズやライフスタイルに基づく顧客クラスタリング、顧客マップ・ペルソナ作成
    -自社・他社の認知状況・認知イメージ・認知経路の検証・可視化

    (使用する技術・ノウハウ)
    -回答者のリアルな行動・心理を把握するための調査票設計ノウハウ
    -回答者母集団の抽出条件の設定、スクリーニング調査と本調査の二段階設計
    -正確な調査データ取得のために、不誠実回答などのゴミデータ混入を除去するノウハウ
    -多数の質問項目の回答データを組み合わせて顧客心理・行動を描き出す集計手法
    -戦略的意思決定のためのデータ可視化の表現技術、解釈の導出
    -調査票設計の段階から、事業理解、顧客の心理理解によるアクション仮説を活用

サービス提供の流れ
  • 状況確認・手法選定
    ご連絡いただければ、まず現況を伺います。今必要とされているものは何か、どのような手法の採用が最適か、などを検討します。
  • 分析設計
    期待成果物、所要期間、費用、役割分担などを提示し、社内承認等をいただければ実際の作業に入ります。
    (初回取引時には必要に応じてNDA等取り交わし)
  • データ取得
    -社内データベースのデータを用いる場合は、必要なデータセットを決めた上で、データを出力いただいて受け取り、分析作業に入ります。
    -アンケート等の市場調査データを用いる場合は、調査設計から作成を始め、調査会社との調整、調査実施、データ回収、と進みます。
  • 分析作業・打ち合わせ
    詳細な解析結果を全て提供するまでに2-3ヶ月、その間にも中間的な結果の共有、分析を進める方向性の議論、必要に応じて統計手法の解説などを行う打ち合わせを定期的に行います。
  • 成果納品物
    最終的に、分析レポート資料の電子ファイルの他、その後の展開の必要に応じて、中間加工データや計算手順書などを提供する場合もあります。
実績例
  • 製造小売企業
    顧客会員制度が導入され、顧客IDの付与された購買データベースが数年分蓄積。
    今までは現場の経験によって商品企画が行われていたところ、データに基づいてより精緻な商品企画を目指してデータ分析を実施。
    顧客の購買商品を系統分けすることにより、商品嗜好の違いを変数化して顧客のタイプ分けを作成。各タイプのペルソナを具体的にビジュアライズして商品企画メンバーとも共有することで、統計データによる顧客理解に基づいた商品ラインナップ整備を社内に定着させた。
  • 食品小売企業
    ポイントカードの全面導入に従って顧客IDの付与された購買データベースが蓄積したため、マーケティングのデジタル化のために有効活用を模索。
    購買履歴データと販売品目データを分析し、顧客クラスタを作成。プロモーション施策の効果検証、クリエイティブ作成時の顧客ターゲティング、モバイルアプリ開発によるCRM施策など、多岐に渡って分析結果を活用へ。
  • その他多数
コンタクト

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